イギリスでのスキンケアのなぜ?が解決する本
海外に住んでいると困るのが、日本で使っていた化粧品が手に入らないこと。特にイギリスでは乾いた空気と水質の違いもあって、お肌が強い人でも環境の変化によるさまざまなストレスから、肌トラブルに悩まされ始めることもあります。元々お肌が敏感であったり、問題を抱えている場合はさらに困ることになりますよね。ほとんどの人は、渡英後にスキンケアアイテムを見直すことを迫られると思います。
この本では、そんな肌トラブルの解決のヒントとなるような、イギリスにおけるスキンケアの基本ステップの解説はもちろん、さまざまな皮膚状態、肌タイプ別やアトピー性皮膚炎/魚鱗癬/色素沈着/乾癬/酒さ様皮膚炎/毛細血管拡張症/白斑/黒皮症の場合についても、ケアのアドバイスとおすすめアイテムが紹介されています。
「率直なスキンケアの女王」という異名を持つだけあって、最近のトレンドであったり人気のあるアイテムでも、それが本当に肌に良いのか、それとも企業のマーケティングによるものなのかなど、それ言っちゃっていいの?というような事についても言及されています。
とても分厚い本ですが、写真が多く使われていて丁寧に解説されているのでわかりやすく、多少英語に自信がなくても理解できる内容です。また、在英の方はお住まいのカウンシルの図書館で見つかるかもしれません。
なぜこの本を読んだのか
私自身は、思春期からのアトピー性皮膚炎持ちで、日本在住時は幸運なことに肌に合う基礎化粧品に出会えていたので(たどり着くまでありとあらゆるものを試しましたが、その話はまた今度)、たまに弱いステロイドを使いながらもなんとかコントロール出来ていました。
でもその化粧品メーカーは日本のみの販売でしたから、イギリス移住後は買うことができません。なので、引越し時に買えるだけ買って持って行き、それを使いつつ現地調達できるブランドやメーカーのものを探すことにしました。
そうして、イギリス在住日本人の方のブログを読み漁り、イギリスで支持されている化粧品を調べて、良さそうな物を買っては試していました。でも2年が経とうとする頃になっても中々これと言ったものは見つからず、日本から持ってきていた化粧品も底をつき、それと同時に肌状態も悪化の一途を辿りました。
だって、一部のデバコスを除いて多くのブランドは日本に無いものが多く、肌の色も様々な人が暮らす国だけに商品バリエーションもとにかく多い、多すぎるのです。
このままでは時間もお金も無駄にし続けるだけかもしれない・・・。
そんな焦りも感じ始めた時に、あるきっかけでスキンケアについてきちんと学ぶことの大切さを知ることになりました。もちろん今までも雑誌やネットで見た情報で知識を得るようにはしてきましたが、もしかしたら知っているつもりになっていただけかもしれない、と思ったのです。
まずは、日本の書籍から読み始めましたが、本の中でおすすめされるものはこちらでは買えないし、イギリスは気候も異なる上になんだか商品ラインナップも日本のものとは違います。やはりイギリス版のスキンケアについても学ぶべきかも・・・と、手に取ったのがアマゾンUKでスキンケア本としてはダントツのレビュー数を誇る本書というわけです。
筆者について:イギリスのスキンケアクイーン!
キャロライン・ヒロンズ(Caroline Hirons)は、ガーディアン紙に「率直なスキンケアの女王」と呼ばれる、イギリスの美容ブロガー&ユーチューバーです。
二児の母で、元々はロンドンのハーヴェイニコルス(イギリスの百貨店)にあるAVEDA(アヴェダ)で働いていました。
アメリカに住んでいたこともあり、米国ブランドのものも紹介されていますし、基本的なスキンケアステップは同じようなので、英語圏およびヨーロッパの国にお住いの方には参考になると思います。
本を読んで
本書では、朝夕のルーティンは6ステップと紹介されていますが、その中でも基本的に毎日行うべきとされているスキンケアステップは、日英とも(と言っても今のところ英バージョン比較対象は本書だけですが)大体同じでした。
- クレンジング
- トナー
- 化粧水
- アイケア製品
- 美容液/オイル
- 保湿クリーム
年齢に応じて角質除去のトナーの使用回数が変わります。朝は最後のステップに日焼け止めクリームが加わります。夜のクレンジングは化粧や日焼け止めを落とす為に、ダブル洗顔が推奨されています。
また、最も丁寧に行うべきなのは洗顔で、最も予算をかけるべきなのは美容液、というのも日英共通して言われていますね。そして、それらの使用アイテムにかけるべきとされる予算もほぼ似たような金額でした。(イギリスのほうが物価が高いのと為替の関係で、恐らく同じクオリティで比較すると高くつきますが…涙)
日英でのスキンケアの違い
特に、日本でのスタンダードと少し違うと感じたのは、最初の3ステップ「1.クレンジング / 2.トナー / 3.化粧水」についてでした。
なかでも最も衝撃を受けたのは、クレンジング・洗顔のトピックで、泡立てるタイプの洗顔料は洗顔後に乾燥しすぎるとして完全に否定していた事でした。日本では、たっぷりフワフワに泡立てて洗ってください、とよく言われていますよね。
本書内ではそれが何故かまでは記述がありません。なので私自身の考察になりますが、イギリスをはじめとする多くのヨーロッパは硬水地域が多く、ふわふわの泡が立てられるような製品を作るには、洗浄成分を強くせざるを得ず、そのため洗いすぎになりがちであること、それに加えて空気が乾燥していること、またお湯や水が貴重なためになるべく使わないケアが好まれること、などが関係していると思われます。
また、洗顔時にぬるま湯でじゃぶじゃぶすすぐのではなく、軽く絞ったフェイスタオルで拭き取るというテクニックも、これまでに馴染みがなかったので驚いた点でした。
トナーについては、一部の美容好きにはもう目新しさは無いかもしれませんが、一般的に日本ではまだあまり馴染みの無いステップかもしれません。トナーに関して日本語で調べても、収れん化粧水であるとか角質除去であるとか、メディアや媒体によって情報はまちまちです。イギリスでは、トナーは角質除去のために使用するものとして扱われているようです。
化粧水については、スプレーすると解説されています。日本では少しとろみのあるようなものが好まれるのに対して、イギリスではよりライトなものが主流で、そのために化粧水難民になる在英日本人も多いようですが、これもその前段階のクレンジングの違いによるところも大きいのかもしれません。
泡で洗ってさっぱりする日本式のクレンジングでは、よりリッチな補水性が必要だし、ミルクやバーム・ジェルなどでしっとり仕上げるイギリス式のクレンジングでは、軽めの補水で十分という事になるでしょうか。
基本からエイジングケアまで
これらの基本スキンケアルーティンについてだけでも、イギリスで自分に合ったスキンケア商品を買うために必要な知識はかなり得ることができました。
また、一口に乾燥肌という状態であっても、それが肌の機能低下による乾燥なのか、脱水によるものなのか、その両方なのかによって、対処法も使うアイテムも異なることが書かれています。
これ以外にも、肌の色による皮膚の違いや敏感肌/乾燥肌/オイリー肌/コンビネーションなどの肌タイプ別にどう言った製品を選べば良いのかも解説されていますし、ニキビケアやエイジングケアについても書かれています。
特に肌の老化に悩んでいる人に向けた、レチノールなどのアシッド系商品については、一歩間違えると肌にダメージを与えてしまうものなので、これまで気になりつつもトライできていませんでしたが、この本で詳しく説明されていたので今後のスキンケアに取り入れてみようと思えました。
そのほか、ジムやスイミング、ヨガなどのワークアウト時、旅行時、フェスに行く時など、通常とは異なるシチュエーションでのスキンケアや、皮膚科医・エステとの関わり方についてもアドバイスされています。
そして長い人生において誰もが避けて通れない、思春期・妊娠出産・閉経や更年期・病気になった時・抗がん剤治療中、ライフステージの変化などによるホルモンバランスや体調の変化とともに、必要なスキンケアも変わることにも触れられています。
まとめ
渡英後すぐに読むべきだった、いやむしろ20代の頃に読んでおきたかった・・・そうすれば、時間もお金も労力も、こんなにかけずに済んだのに!肌の状態も悪化させずに済んだかもしれないのに!というのが読み終えた感想です。と同時に、いかにスキンケアについて無知であったかも思い知りました。
もちろん、ここに書かれていることが全て自分にとって正しいかはわかりませんが、少なくともマイベストなスキンケアルーティンを構築するための大きなヒントを得る事はできました。
これで、これからイギリスでは何を使えばいいのか探す糸口は見つかったわけです。前途は明るい!ということで、この本はイギリスでスキンケアに悩む方には大変おススメしたいと思います。また、新しいアプローチをお探しの美容家の方にもインスピレーションを与えてくれると思います。
キャロラインさんのブログサイトやYouTubeチャンネルもありますが、体系的にわかりやすいのは本だったので。
あなたのお肌の悩みが少しでも改善しますように!