もともとアトピー体質だった肌が、イギリスに移住してからというもの、乾燥した空気のせいか水質のせいなのか、荒れに荒れまくっていました。日本で愛用していた化粧品を可能な限り持ってきていたので、それらがある間はなんとか持ちこたえていました。
日本の化粧品があるうちに、並行してイギリスで入手可能な化粧品を探し、テスト使用していました。が、スキンケア文化も違う多民族国家のイギリス。東アジア人はマイノリティ。商品バリエーションもかなり多く、なかなか合うものが見つかりません。そうこうしているうちに2年ほどたって、日本の基礎化粧品が底をつき始めたころ、どうにも肌の状態が制御不能になってきました。
かゆい・・・そして症状が出ているのが顔を首回りなので、隠せない・・・。コロナ規制がなくなっても出かける気になれない・・・。
これはもう、きちんと肌やスキンケアについて学んでから探さないと、膨大な化粧品ラインナップの中から自分に合うものを見つけるのは難しい・・・ということで、いくつか手に取った本のうち、一番わかりやすくて役に立ったのは本書でした。
近年新薬が出ているとはいえ、アトピーには根本的な治療法というのはまだ無く、基本的にはかゆみや赤みなど肌の炎症を薬で治し、アレルゲンに接しないようにしますが、最も大事なのは炎症を起こしにくい肌を自分で作ること。
自分に合ったスキンケアを見つけて毎日行い続け、炎症が起きないようにする、起きても軽い段階で治療を始めるのが、なるべくストレスなくアトピーとの付き合い方だと思います。
でも、肌がちょっとかゆいくらいで病院にいくのは気が引ける、という気持ちがあったり、そもそも忙しくて行けない、市販のステロイドでしのいでいることもありますよね。そして多くの皮膚科では、ステロイド軟こうやクリーム・ヒルドイドなどを処方はしてくれますが、スキンケアの大切さについては教えてはくれません。
この本では、化粧品研究者の筆者が洗顔から保湿クリームまで、スキンケアの基本ステップと基礎化粧品の使い方から選び方・成分について詳しく解説してくれています。読んだ後は、私がティーンエイジャーの時にアトピーを発症した時点で、この本を読んでいればあんなに合わない化粧品にお金や時間をかけずに済んだのに!という思いで本当にいっぱいです。
だって、この本を読んでから新たに選んだ化粧品、決して高価なものではないのに、イギリスに来てから使った中で一番肌の状態を整えてくれているんです。
常にかゆみに悩まされ、鏡を見るたびにため息をついていた日々とサヨナラできて、感謝の気持ちでいっぱいです。今までスキンケアについて基礎を学んだことが無く、スキンケア化粧品ジプシーの方には是非一度読んでみて頂きたい一冊だと思いました。